ALSについてのQ&A


  Q1.この病気は、悪くなる一方と聞きました。進行が止まったり、
     改善の兆候が見られる例はないのですか。

  A1.ALSは、一般に進行性の経過をたどります。しかし、その速
     度は人によって違うもので、進行が非常に遅く、長期間症状
     に大きな変化がみられない場合もあります。


  Q2.SPMA(脊髄性進行性筋萎縮症)と診断されました。ALSとは、
     どう違うのですか。また、療養は、どう取り組んでゆけばよい
     ですか。
  A2.SPMAは、広い意味で運動ニューロン病のALSに含まれます
     が、下位運動ニューロンのみが障害されるグループにつけら
     れた名前です。そのために、上位運動ニューロン障害による
     手足がつっぱるという錐体路症状は現れません。下位運動
     ニューロン障害のみが主のSPMAや、上位運動ニューロン
     障害のみが主のPLS(原発性側索硬化症)の時には、ALS
     に比べて進行の速度が、一般に遅いと言われています。し
     かし、他にはあまり違いはなく、療養方法はALSと全く同じ
     です。
 

  Q3.漢方薬を併用したり、針・灸・気功をためしたいと思います
      が、弊害はないでしょうか。

  A3.残念ながら、ALSに有効な治療法は現在、世界のどこに
     もありません。しかし、何か治療をためしたいというのは人
     情でしょうし、漢方薬や針・灸・気功でしたら、少なくとも害
     にはならないと言えます。東洋医学研究所を持っている大
     学などがありますので、そういう所で、どんな治療法が良い
     か相談されるといいと思います。

  Q4.寝たきりの状態です。水分の摂取が足りないような気がす
      るのですが、一日にどれくらい摂れば良いのでしょうか。
  A4.一日にどのくらい水分を摂る必要があるかは、人によって
     かなり違います。だいたい1g〜1.5g摂れば良いのです
     が、食事と一緒に体に入る水分も多く、これだけの量を飲
     まなければいけないわけではありません。水分の摂取が
     足りなければノドが乾きますし、皮膚・粘膜が乾燥します
     ので、口渇感があるか、腋の下が乾いているか、舌が乾
     いているかに注意し、乾いているようならば、水分量を増
     やすようにすれば心配はありません。

  Q5.最近、耳が聴こえにくくなっているのですが、なぜでしょうか。
  A5.ALSで、耳が聴こえにくくなることはありません。耳が聴こ
     えなくなっているとしたら、何か別の病気が重なっているこ
     とが考えられます。まず、耳鼻科で診ていただいて、耳の
     どこが悪くて聴力が落ちてきたのかを診断していただいて、
     さらに主治医と相談するのが良いと思います。

  Q6.私の場合、ろれつがおかしくなることから始まりました。い
     わゆる球麻痺から始まった場合は、進行が速いと聞きまし
     たが、どれくらいで呼吸筋麻痺になりますか。
  A6.「球麻痺から始まると、進行が速い」ということは、よく耳に
     することですが、それは正しくはありません。球麻痺で始ま
     ると、比較的早期に呼吸困難が生じやすく、人工呼吸器を
     つけないと命が失われるということであり、病気自体の進
     行が速いわけではありません。病気の進行の速さには個
     人差がありますが、呼吸筋麻痺になるまでにかかる期間
     は、平均3〜4年と考えてよいでしょう。

  Q7.全身が焼けつくように痛く、触れられても痛いのですが、
     なぜでしょうか。
  A7.ALSでは、脳や脊髄の運動に関係した部分だけがおかさ
     れるので、普通、痛みやしびれなどの感覚障害が起こる
     ことはありません。ご質問のような痛みは、一般にALSで
     みられる症状ではなく、何か他の病気が加わっていると
     考えられます。そのようなものとして、まず考えられるのは
     ビタミン不足による末梢神経の障害です。ビタミンBを摂る
     ようにしてみたら、いかがでしょう。また、手や足を毛糸 の
     手袋やストッキングで暖める、あるいは逆に、冷やしてみる
     と楽になることがあります。

  Q8.37度前後の熱が、ずっと続いていますが、なぜでしょうか。
  A8.ALSのために、熱が出ることはありません。熱が続くときに
     は、何か他の病気が重なっていることが考えられます。か
     かりつけの医師に相談して、尿・血液の検査、胸レントゲン
     などで調べてもらうとよいでしょう。特に余病が見つからず、
     熱以外に症状がないときには、あまり微熱に神経質になら
     ない方が良いと思います。

  Q9.あくびがよく出るのですが、なぜでしょう。
  A9.あくびは、脳に酸素が不足した時に出ることがあります。
      ALSで、呼吸が十分にできないと、脳に酸素が不足するこ
      とがあり、あくびがよく出るというのは、呼吸が十分にでき
      ていないからかもしれません。そのようなときには、呼吸が
      浅く速くなり、意識ももうろうとします。呼吸数が、一分間い
      くらくらいか数え(正常では16〜20)、また意識状態をみ
      て、主治医に相談されてはどうでしょうか。酸素が不足して
      いるかどうかは、血液ガス検査で、はっきりわかります。

  Q10.汗が、よく出ます。体温は36.5度前後で、それほど高くな
      いと思うのですが、なぜでしょう。
  A10.汗が出るのは生理的現象で、それ自体心配することはあ
      りません。身体は、汗を出すことによって、体内の水分量
      をうまく調節しているのです。ただ、発熱もないのに、やた
      らに大量の汗が出るという場合には、甲状腺のホルモン
      量が多すぎるということも考えられるので、主治医と相談
      の上、血液検査を受けるのも良いでしょう。

  Q11.腰や肩、手足の関節が、痛くてたまりません。良い治療法
      は、ないでしょうか。
  A11.ALSで関節が痛くなるのは、その関節を動かさず、固くな
      ったときです。腰や肩も関節ですので、ときどき動かす必
      要があります。柔軟体操をやって、痛みが起こらないよう
      に、予防するのがいいのですが、痛みが起きたら、手足
      を湯の中につけるなどして、暖めながら屈伸させるように
      すると良いでしょう。腰の痛みは、ベッドのマットや布団が
      柔らかすぎたり、固すぎて起こることもあります。長期に
      寝ていることが多い病人のために、特殊なマット(エアマ
      ットなど)もありますので、主治医などに相談されると良い
      でしょう。

  Q12.ベッドに寝たきりになって、3年になります。体を起こして、
      窓の外を見せてあげようと思っても、少しでも頭を起こす
      と、めまいや頭痛を訴えます。なぜでしょう。
  A12.長い間寝ている人を起こそうとすると、急に血圧が下がり、
      脳貧血となります。これを起立性低血圧と言います。これ
      を防ぐには、頭を少しずつ起こし、慣れさせていかなけれ
      ばなりません。上半身が持ち上がるベッドなら、それを利
      用して、その他の場合にも座椅子を利用するなどして、初
      めは短時間少し頭から上半身を持ち上げるようにし、毎日
      数回ずつ繰り返し、だんだん高く長時間持ち上げていくよ
      うにすると、不快感なしに起座することができるようになり
      ます。

 
     
   *:*:*:*†『ALS ケアブック』(日本ALS協会 編)より引用†*:*:*:*: 


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